第17問 代理権の濫用

ロープラクティス民法1  第17問の答案構成

Get Started. It's Free
or sign up with your email address
第17問 代理権の濫用 by Mind Map: 第17問 代理権の濫用

1. ⑴「代理人」Bは甲売却の「権限内において」、「本人」A「のためにすることを示して」、Cとの間で甲売買契約の「意思表示」をしたので、形式的には有権代理の要件を充足し、Aに効果帰属が原則

2. ⑵したがって、Dは「善意の第三者」(94条2項)として保護される

2.1. (イ)そもそも任意代理制度は私権の拡張にその意義があり、代理人の行為による利益・不利益は本人に帰属するのが原則。代理権の濫用は確かに代理人に許されないものであるが、それはあくまで本人と代理人の内部的な責任にとどまるものであって、第三者負担のもと解決されるべきでない。

3. が認められる場合は信頼し取引に及んだ者は「第三者」として保護

3.1. D=「第三者」

4. 1、①A所有②D登記が必要

4.1. ⑴②充足

4.2. ⑵2020年4月時点で①充足

5. 第2、Bに対する損害賠償請求

5.1. ⑵不法行為に基づく損害賠償請求(709)

5.1.1. 請求可

6. 3、もっともDはCの登記を信頼した転得者

7. ⑶、両請求の関係

8. 4、よって、AはDに対して、甲所有権を「対抗できない」(94条2項)結果、①不充足。よって、本件請求は不可

9. 第1、AのDに対する甲所有権(206)に基づく妨害排除請求としての所有権移転登記請求

9.1. 2、これに対しDは、本人A、代理人Bとする有権代理が成立し(99条1項)、BC間甲売買契約(555)の効果はAに帰属、よってAは所有権を喪失していると主張

9.1.1. ⑵これに対してAは、本件売買契約は代理権濫用にあたり無権代理行為とみなされる(107)ので、「本人」Aの「追認」ない限りはAに効果帰属しない(113条1項)と主張。この主張の可否。

9.1.1.1. ア、代理権濫用?

9.1.1.1.1. (ア)「代理権の範囲内の行為」

9.1.1.1.2. (イ)「自己…の利益を図る目的」

9.1.1.1.3. (ウ)「その目的を…知ることができた」

9.1.1.1.4. (エ)代理権濫用にあたる

9.1.1.1.5. 登記はAにあり、確認は容易にかかわらず、これを怠ったので結果回避義務違反あり

9.1.1.2. イ、よって、本件契約は無権代理行為にあたり、Aに効果帰属しない

9.1.1.2.1. したがって、所有権はAにあり、①を充足するように思える

9.2. ウ、もっともC登記はAの意思に対応していないので、上記のみでAでなくDを保護するのは酷にも思える。そしてDは専門業者であり、Cの説明を安易に信じた過失を認める余地あり。

9.2.1. (ア)代理権の濫用の場合の「第三者」保護要件は「善意」で足りるか

9.2.2. よって、無過失要件は不要

9.3. ⑴そこでDは「善意の第三者」(94条2項)を主張

9.3.1. イ、94条2項の類推適用

9.3.1.1. (ア)趣旨は権利外観法理。その趣旨が及ぶ範囲で類推適用可能

9.3.1.2. ア、AC間に「通じてした虚偽の意思表示」(同1項)なく、同2項も直接適用不可

9.3.1.3. 具体的には

9.3.1.3.1. ①虚偽外観の存在

9.3.1.3.2. ②外観存在への本人帰責性

9.3.1.3.3. ③虚偽外観への信頼

9.3.1.4. (イ)

9.3.1.4.1. ①C登記

9.3.1.4.2. ②不用意にBに代理権与えた帰責性あり

9.3.1.4.3. ③DはC登記を信頼した

10. 両請求は請求権競合にあたり、Aはどちらも主張可能

11. ⑴委任(643)→債務不履行責任に基づく損害賠償請求(415条1項本文)

11.1. Bに帰責事由(同2項)あり

11.1.1. 請求可