第37問 即時取得:192条

ロープラ民法1 答案構成

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第37問 即時取得:192条 by Mind Map: 第37問 即時取得:192条

1. 1、AのC(M)に対する、本件ピアノ所有権(206条)に基づく物権的返還請求としての本件ピアノ返還請求

1.1. ⑴本件ピアノにつき、①A所有権②C(M)占有

1.2. ⑵①、②あり

2. 3、よって、A請求は不可

3. 2、Cは自己の即時取得(192)によってA所有権喪失と反論

3.1. ⑴「取引行為」「によって占有を始めた」と主張

3.1.1. ア、「取引行為」=BC間売買契約あり

3.1.2. イ、指図による占有移転(184)=「占有を始めた」?

3.1.2.1. (ア)動産については占有移転という不完全な公示を原則とする(178)ところ、即時取得の趣旨はこの公示を信頼したものを保護すること

3.1.2.1.1. よって、「占有を始めた」といえるためには外観上従来の占有状態に変更が生じる必要がある

3.1.2.2. そこで、指図による占有移転を分析すると、確かにその前後で現実の占有者は変わっていないものの、その者に照会すれば誰のために占有しているかが把握できる点で外観上従来の占有状態に変更が生じている

3.1.2.3. そして、観念的にも指図による占有移転の時点で所有者は現実の占有者を介した間接占有を失っているというべき

3.1.2.4. よって、外部から占有状態の変更が把握できる限り、指図による占有移転は「占有を始めた」といえる

3.1.2.5. まず、寄託者Bは受託者Mの現実の占有を介して間接占有していた

3.1.2.5.1. そして、賃貸人Aは賃借人Bのこの間接占有を介して本件ピアノをさらに間接占有していた

3.1.2.6. そして、指図による占有移転以降は、現実の占有者Mは新たな寄託者Cのために占有しており、Cによる本件ピアノへの間接占有が認められる一方、前記Aの占有は失われたと評価できる

3.1.2.7. この占有状態の変更は本件手続によって外部から容易に把握できるので、本件指図による占有移転以降からCは「占有を始めた」と言ってよい

3.2. ⑵そして、前記取引によってMの現実の占有を介して本件ピアノを間接「占有」するに至ったCは、「善意」で「平穏に、かつ、公然と」占有していることが推定される(186条1項)

3.3. ⑶これに対して、AはCの過失を主張

3.3.1. ア、予見可能性に基づく結果回避義務違反

3.3.1.1. 1000万円から1200万円の高額なピアノに関わらず、AはピアニストSの来日が確定する前に1ヶ月の長期間、Bに具体的な占有様態の確認をとらず占有を許していた

3.3.1.2. Aがこのような確認をとり、Mによる占有を把握の上、Mと連絡をしていれば、MにおいてもBからのみの指図でCのための占有をしなかったといえる

3.3.1.3. 確かに、1000万円から1200万円のピアノを900万円で売却する契約はそれ自体では通常とは言えない

3.3.1.3.1. しかし、Cをしては前記Aの惹起したMによる現実の占有状態を信頼している

3.3.1.3.2. その上で、Cの受けた説明によれば、差し迫った状況の中での売却であると認識するのも不自然であるとは言えず、明らかな不審事由を認識することは困難

3.3.1.4. よって、他者の権利侵害を予見する可能性がなく、それを回避すべき義務もまたない

3.3.2. イ、よってCに過失はない

3.4. ⑷よって、即時取得が成立し、Aは本件ピアノの所有権を喪失する