
1. 前回の復習と今回の目的
1.1. 前回の復習
1.1.1. 人材教育の本質: 相手のことを相手以上に理解し、 ビジョン・好き・得意に合わせたBESTな道を作り続ける。 とはいえ、どのようにすれば、ビジョン・好き・得意に合わせた BESTな道を作り続けることができるのでしょうか?
1.1.1.1. ビジョン・好き・得意に合わせた BESTな道を敷き続ける方法
1.1.1.1.1. 1.自己理解
1.1.1.1.2. 2.自分のスキル(定性面、定量面)向上
1.1.1.1.3. 3.スキルの言語化
1.1.1.1.4. 4.他者理解
1.1.1.1.5. 5.ビジョン・好き・得意に合わせて教育
1.1.2. APの育成に必要な要素とは?
1.1.2.1. 集客を教える
1.1.2.1.1. 自分の集客の能力を上げるためには?
1.1.2.1.2. 自分の集客のノウハウをわかりやすく伝えるためには?
1.1.2.2. だけじゃない
1.1.2.2.1. APが自走するためには?
1.1.2.2.2. APと良い関係を築き、自分にベクトルを向かせるためには?
1.2. 今回の目的
1.2.1. 具体と抽象とは?
1.2.1.1. 抽象 ↕︎ 具体
1.2.1.1.1. 「ねぇねぇ、今晩ちょっとご飯を作ってくれない?」 「ねぇねぇ、今晩ちょっとカレーを作ってくれない?」 「ねぇねぇ、今晩ちょっとバーモントカレーでカレーを作ってくれない?」
1.2.2. アナロジー思考
1.2.2.1. 1から10を学ぶ人
1.2.2.1.1. 1の抽象を聞いたら10の具体の場面で行動する技術
1.2.2.2. 言語化ができる人
1.2.2.2.1. 自分の成功ノウハウを抽象から具体へ体系化する技術
1.2.2.3. アイデアをいっぱい出せる人
1.2.2.3.1. 世の中の具体例を抽象化して、自分の業務に具体化する技術
2. アナロジー思考
2.1. 1から10を学ぶ人 →1の抽象を聞いたら10の具体の場面で行動する技術
2.1.1. 1から10学ぶとは?
2.1.1.1. ある人が上司に「ウィース」と言いました。それを聞いた上司は「それは使ってはいけない」と怒りました。 反省したこの人は「チーッス」と言ってはいけないことをしっかり学びます。 しかし次に「ウィース」と言ったところ、また上司に「それは使ってはダメだ」と怒られました。 再び反省し、「ウィース」と言ってはいけないことを学びます。そして今度は「チョリース」と言いました。 すると上司はついに怒り切れました。
2.1.1.1.1. このケースでは、部下はしっかり学んで同じ失敗は繰り返していませんが、 「1を聞いて10を知る」ということができていません。 なぜなら、この人の頭の中には具体のことしかないからです。 そのため、モグラたたきのように具体的なタブーを一つずつ潰していかなければなりません。
2.1.1.2. 一方、具体と抽象を行き来できる人は違います。 「チーッス」と言ってダメだと怒られたことを抽象化すると、 「タメ口はダメ」だと考えることができます。 そしてそこから具体化をして考えると、 「ウィース」や「チョリース」もダメだということが自分でわかるわけです。
2.1.1.2.1. これが「一を聞いて十を知る」思考、いわゆる「アナロジー思考」です。 これが、具体の世界しか生きていない人と、具体と抽象を行ったり来たりする人の差です。
2.1.2. 「1を聞いて10を学ぶ」力を身につけるためには、
2.1.2.1. 1.なぜ?を追求し、単なる知識の受容にとどまらない
2.1.2.2. 2.情報を整理・関連づけ、分野を横断して考える
2.1.2.3. 3.実際に手を動かし、具体的な経験と結びつける
2.1.2.4. 4.自分の言葉でアウトプットし、他者に教えてみる
2.1.2.5. 5.継続的な振り返りと好奇心の維持
2.2. 言語化ができる人 →自分の成功ノウハウを抽象から具体へ体系化する技術
2.2.1. 概念的思考力は 全てのことを言語化するために一番必要な能力。
2.2.1.1. 言語化が上手い人は脳内で整理されたものをそのまま出しているだけ
2.2.2. ノウハウ言語化のやり方
2.2.2.1. 1.目的・ゴールの明確化
2.2.2.1.1. なぜそのノウハウを言語化する必要があるのかをはっきりさせる。 誰(読み手・引き継ぎ先)がどのような状況で活用するかを想定しておく。 例:「新入社員にも同じ業務が短時間でできるようにするため」「プロジェクトメンバー全員が同じレベルの品質を担保するため」など。
2.2.2.2. 2.全体像(抽象的視点)の整理
2.2.2.2.1. 業務の大まかな流れ、枠組み、必要な要素などを「ざっくりと」捉える。 ワークフロー図やマインドマップなどを用いて構造を可視化するとスムーズ。
2.2.2.3. 3.各プロセス・要素を具体的に記述する
2.2.2.3.1. 各ステップで「何を」「なぜ」「どのように」行うのかを明文化。 ポイントは、実際に行動するときの判断基準や注意点、コツなどを具体的に記すこと。
2.2.2.4. 4.具体的な事例・テンプレートを示す
2.2.2.4.1. 抽象的な手順だけでなく、使用する書類のテンプレート例、実際の成果物サンプル、成功・失敗の事例などを添える。 具体例があると、ノウハウを初めて学ぶ人でもイメージしやすくなる。
2.2.2.5. 5.言語化後の検証・更新
2.2.2.5.1. 一度作って終わりではなく、常にブラッシュアップが必要。 実際にその手順を第三者(チームメンバーなど)が利用し、フィードバックを得ることで、内容を更新していく。
2.2.3. ノウハウ言語化の具体例
2.2.3.1. 集客マネジメントシート https://docs.google.com/spreadsheets/d/1mD9r_3moMxhnpwbAqOEvGTihGzY2gzoV7b_N0iHZNjs/edit?usp=sharing
2.3. アイデアをいっぱい出せる人 →世の中の具体例を抽象化して、自分の業務に具体化する技術
2.3.1. アナロジー思考の実験
2.3.1.1. 戦国時代の城攻め
2.3.1.1.1. **問題設定:** - あなたは戦国の武将である - 敵の城を攻め落とさなければならない - 敵の城へたどり着くには橋を渡る必要がある - 橋は木でできていて非常にもろい - 部隊全員で渡ると橋が壊れてしまう
2.3.1.2. がん細胞治療
2.3.1.2.1. **問題設定:** - 細胞の中にがん細胞がある - がん細胞を殺すためにレーザーを当てる予定 - 強いレーザーを当てるとがん細胞を破壊できるが、健康な細胞も破壊される - 弱いレーザーでは健康な細胞へのダメージは抑えられるが、がん細胞は破壊できない
2.3.2. 思考法の比較
2.3.2.1. アナロジー思考ができない人の学び方
2.3.2.1.1. 大人数で戦えば勝てる 戦術が大事だと表面的に理解する 「1を聞いて1」程度の学びにとどまる
2.3.2.2. アナロジー思考ができる人の学び方
2.3.2.2.1. 問題の本質的な部分に着目する 学んだことを抽象化する 「力をあえて分散した後で最大化することの有効性」という概念を抽出する 抽象化して学んだことを個別の問題(レーザー治療)に応用する
2.3.3. 具体→抽象→具体 のやり方
2.3.3.1. 1. インプットする現象や事象を選ぶ
2.3.3.1.1. 1-1. 興味・関心のある分野を広く観察する 自分の業務と直接は関係ないが、興味をそそる事柄やビジネスモデル、 サービス、自然界の仕組みなど、幅広く情報を集める。 やり方の例 ニュース記事や書籍を読む テレビ番組やドキュメンタリーを視聴する 他業界のビジネス事例やケーススタディをリサーチする 動植物の行動や生態、自然現象などに目を向ける
2.3.3.1.2. 1-2. 選ぶ際のポイント 「自分の業務課題(例:コスト削減、新製品のアイデア、チームマネジメントなど) に遠い領域ほど、新鮮な知見が得やすい」 「今まで着目してこなかった分野であること」 「直感的に面白い・応用できそうだと感じられること」
2.3.3.2. 2. 観察・分析し、具体的な特徴を抽出する
2.3.3.2.1. 2-1. 「なぜうまくいっているのか?」「どうしてそうなっているのか?」を深堀りする 例: 動物の群れが効率的に行動している事例を見つけたら、 「どんなルールで群れを制御しているのか」「どうやって意思決定しているのか」を徹底的に調べる。
2.3.3.2.2. 2-2. 具体的な観点をリストアップする 例 どのようなプロセスで進行しているか 主体(人・動物など)はどのように連携しているか コストはどう管理されているか 時間やリソースの使い方はどう工夫されているか トラブルをどのように回避または対処しているか
2.3.3.2.3. ポイント 大切なのは「何が起きているか」を細かく切り分けること。 抽象化の段階に行く前に、まずは観察対象の構造や仕組みを徹底的に理解することが重要。
2.3.3.3. 3. 見えた特徴を抽象化(本質化)する
2.3.3.3.1. 3-1. 抽象化とは 観察・分析で取り出した「具体的な特徴」から、より一般化したパターンや原理を導き出すことです。
2.3.3.3.2. 3-2. 共通する本質を言語化する 「この仕組みは **(A)** を達成するために、 **(B)** を利用している」 「この現象は **(C)** という条件下で動くときに、 **(D)** というルールが重要になる」 といった形で、構造やメカニズムを「誰が、何を、どうやって」という切り口で整理する。
2.3.3.3.3. 例:ミツバチの巣から学べる抽象概念 具体的観察: ミツバチが花粉を採集して巣に持ち帰る際、一匹一匹が自律的に最適な花やルートを選んで行動している。 抽象化: 「各個体の最適行動が全体最適につながる仕組み」 「情報共有のシグナル(ダンス)による新しい知見の伝達とそれに基づく意思決定のフレームワーク」 このように自然の事例から「情報伝達・個別判断・全体最適」をキーワードとして抽象化できる。
2.3.3.4. 4. 自分の業務・課題に対応づける
2.3.3.4.1. 4-1. 業務上の課題やテーマを明確化する 例: 「自社では新商品のアイデアがなかなか出ない」「複数部署間の連携がうまくいかない」 「コストを下げたいが品質は維持したい」など。どの部分にその抽象概念が役立ちそうか?を見極める。
2.3.3.4.2. 4-2. 抽象概念と自社の状況を対比させる 「ミツバチの場合、情報共有と自律的判断がキーだった。自社の場合、 アイデア共有の仕組みや権限委譲のあり方を見直すことで、新商品のコンセプトを出しやすくできるかもしれない」 「○○の組織連携の事例では、小さな単位での成功・失敗を素早く共有することが重要だった。 うちのチームは進捗共有の頻度が少ないから、似た仕組みを導入できないか?」
2.3.3.5. 5. アクションプランを策定・実行する
2.3.3.5.1. 5-1. 適用シナリオをいくつか考案する 現場でどのように使うのか?」を複数パターン考えてみる。 - 大胆に取り入れる案 - 小さく試す案 - 部分的に導入する案
2.3.3.5.2. 5-2. 優先度を決めて仮説検証を行う リスクやコストが低い順から試す。 短いスプリントで効果検証をしてフィードバックを得る。 成果が見込めなければ別のパターンに切り替える。
2.3.3.5.3. 具体例(ミツバチのアナロジーを会議に適用) 1. 仮説: 「個々の社員がアイデアを持ち寄りやすい“シグナル”を会議前に発信すると、より新しいアイデアが集まるのではないか」 2. 実施: 週に1回、事前にアイデア募集を全社員向けに行い、その中からランダムに3件をピックアップし、会議で議論する。 3. 検証: 提案数の変化、質の変化、会議への参加意欲などを観察し、効果を測定する。 4. フィードバック: うまくいかなければ修正(例: 投票制にしてみる、会議形式を変えるなど)。
2.3.3.6. 6. 振り返りと継続的な応用
2.3.3.6.1. 6-1. 結果をレビューし、「何が有効だったか」「どこが課題か」を分析 うまくいった点はどのような本質的要素が働いたのか? うまくいかなかった点は、何が阻害要因になったのか?
2.3.3.6.2. 6-2. 次のアナロジー思考につなげる 他にも似たような事例を探し、今回うまくいった要因や課題を照らし合わせる。 新たに抽象概念を洗練させるか、別の事例で補うかを検討。
2.3.4. 具体→抽象→具体 の例
2.3.4.1. 物販のオンラインスクール CITRUS