1. 1、X→Y所有権(206)に基づく妨害排除請求としての甲登記抹消請求の可否?
2. 4、したがって、Xは自己の所有権をYに対抗できない結果、①を充足しない。よって、本件請求は不可。
3. 3、もっとも、2018年4月時点で甲登記はAにあり、これを信じたYを保護する必要
3.1. ⑴そこで、Yは自身を「善意の第三者」として、XはYにその所有権を「対抗できない」と主張(94条2項)。かかる主張の可否?
3.2. ⑵直接適用不可
3.3. ⑶94条2項の類推適用の可否?
3.3.1. ア、「第三者」?
3.3.1.1. (ア)
3.3.1.1.1. 趣旨は権利外観法理。その趣旨の及ぶ限度で類推適用可能
3.3.1.1.2. 具体的には
3.3.1.1.3. 同条項を類推適用し、信頼した第三者を「第三者」として保護すべき
3.3.1.2. (イ)
3.3.1.2.1. a.A登記の存在
3.3.1.2.2. b.真権利者Xは、実印・印鑑登録証明書を交付、売渡証書〜漫然と見ている。A登記はXの意思に対応していないとはいえるものの、その存在につき、Xにはこれと同視しうる程の重大な過失があったと言える。よって、A登記の存在にX帰責性あり
3.3.1.2.3. c.2018年時点でAとの甲555に及んだYはA登記を信頼
3.3.1.3. (ウ)よって同条項類推適用をもって、Yは「第三者」として保護されるように思える
3.3.2. イ、しかし、重大な過失と言う帰責性のみをもって、登記の存在を承認していない真権利者より第三者を常に保護するのは酷とも言える
3.3.2.1. (ア)そこで、第三者を保護するにあたり、「善意」のみで足りるか?
3.3.2.2. (イ)真権利者が虚偽外観を作出していない場合であっても、その権利の処分権を証明する手段を他者に交付していたのであれば、被交付者は自己名義でなく真権利者の代理人を称して当該権利を処分することも可能であったと言える。すなわち、代理権の授与はないながらも、その外観においては代理人が基本代理権を逸脱した処分をなした場合と本質的に類似し、110条を類推すべき基礎が認められる。
3.3.2.3. そこで、なんらの虚偽外観も作出してない真権利者が当該権利の処分権を証明する手段を他人に交付し、その他人が虚偽外観を作出した場合は、虚偽外観を信頼した第三者を保護するにあたり、94条2項に併せ110条を類推適用し、「正当な理由」すなわち善意のみならず無過失まで要求すべきものと考える。
3.3.2.4. (ウ)X、Aは該当
3.3.2.5. (エ)Yは善意。Yの過失の有無を検討
3.3.2.5.1. 過失の意義
3.4. ⑷よって、Yは「善意の第三者」として保護される
4. 2、①Xによる甲所有権②Yによる甲登記が必要
4.1. ⑴②充足
4.2. ⑵XにAへ甲売却の意思はなく、Aは無権利者
4.2.1. よってYはAから甲所有権を承継できない