1. 1、XからYへの交換契約(586)の履行請求としての所有権移転登記請求
1.1. B X間の交換契約の効果がYに帰属する必要
1.1.1. ⑴XとしてはまずBを代理人とした有権代理(99条1項)の成立を主張
1.1.1.1. ア、代理行為
1.1.1.1.1. BはXと交換契約を締結した
1.1.1.2. イ、顕名
1.1.1.2.1. Yの代理人として振る舞う
1.1.1.3. ウ、先立つ代理権の授与
1.1.1.3.1. (ア)Xとしては委任状の交付をもって、これを主張するも、YにXとの交換契約の代理権授与の認識なし。
1.1.1.3.2. (イ)主張不可
1.1.2. ⑵Bの行為は無権代理にあたるので、「本人」Yの「追認」がない限り効果帰属しないのが原則(113条1項)
2. 3、よって、BX間契約の効果はYに帰属しない。請求不可
3. 2、そこで、Xは表見代理の成立を主張
3.1. ⑴Xとしては、委任状の交付は代理権授与表示にあたると主張(109条1項)するも、本件無権代理行為は委任事項の範囲外の行為
3.1.1. 同条項の適用なし
3.2. ⑵そこで、Xは同2項の成立を主張
3.2.1. ア、1で述べた通り、代理行為、顕名はあり
3.2.2. イ、先立つ代理権授与表示
3.2.2.1. 委任状
3.2.2.1.1. 細かめに分析
3.2.3. ウ、交換契約にかかる代理権への信頼
3.2.4. オ、同2項が成立するように思える
3.3. ⑶これに対し、Yは次の点を反論
3.3.1. ア、先立つ代理権授与表示の錯誤取消(95条)
3.3.1.1. (ア)代理権授与表示は法律行為ではなく直接適用不可
3.3.1.2. (イ)もっとも、準法律行為であり類推適用の余地はある。
3.3.1.2.1. しかし、そもそも表見代理の趣旨は、無権代理人に代理権があるような外観を備えさせた本人の帰責性を根拠に相手方を保護し、もって代理制度の信頼を保つこと
3.3.1.2.2. そうだとすれば、相手方が把握できない本人と無権代理人の事情をもって、表見代理を不成立とさせることはこの趣旨を没却する
3.3.1.2.3. 本人としても債務不履行責任・不法行為責任などを無権代理人に追及する余地はあるのであるから、本人にとって不当とは言えない
3.3.1.3. したがって、先立つ代理権の授与表示に95条を類推適用すべきではないと考える
3.3.1.4. (ウ)かかる主張は認められない
3.3.2. イ、「信ずべき正当な理由」がないと主張
3.3.2.1. (ア)意義
3.3.2.1.1. 善意無過失
3.3.2.2. (イ)過失の意義
3.3.2.2.1. 予見可能性に基づく結果回避義務違反
3.3.2.3. (ウ)かかる主張は認められる