第35問 遺産分割と登記
KYOU Kにより
1. 1、XのYに対する、本件で実体上認容された更生登記の承認請求が認められるためには、甲不動産のXによる単独所有がYに対抗できる必要がある
2. 4、よってXの請求は認められない
3. 3、そこで、Yは「第三者」(899条の2第1項)を主張
3.1. ⑴Yは第三者にあたるか
3.1.1. ア、意義
3.1.1.1. (ア)相続財産の承継内容が遺産分割協議・遺言など外部からの把握困難な事情で確定されるところ、同条項の趣旨は確定した承継内容につき可及的速やかに対抗要件を具備させることをもって、不測の不利益から法定相続分に基づく承継内容を信頼した第三者を保護することにある。
3.1.1.2. したがって、「第三者」とは遺産分割の当事者及び包括承継人以外で登記の欠缺を主張する正当な利益がある者をいう
3.1.1.3. (イ)Yは「第三者」
3.2. ⑵もっとも、甲・乙はそれぞれ2000万円相当であり、少なくとも抽象的な全体財産の価額上はX・Bの各法定相続分の範囲に収まっているように思える。
3.2.1. ア、そこで、甲不動産の1/2以上の部分についても法定「相続分を超える部分」でないとしてXは登記なくしてYに甲単独所有を主張できるか
3.2.1.1. 法定「相続分を超える部分」が具体的な個別財産ごとに判断されるか否かが問題となる
3.2.2. イ、対抗要件は具体的な個別財産ごとに具備されるものであるところ、抽象的な全体財産のみで「相続分を超える部分」を判断して対抗要件の欠缺を許容すれば、第三者が不測の不利益を被る可能性があり、前記同条項の趣旨は実現しない
3.2.3. また相続内容の承継内容が確定すれば、相続人はいつでも対抗要件を具備できるのであるから、その懈怠による不利益は甘受すべき
3.2.4. よって、法定「相続分を超える部分」は具体的な個別財産ごとに判断されるべきである
3.2.4.1. よって、個別財産ごとの法定「相続分」を超える範囲については、対抗要件を具備しなければ「第三者」に対抗できない
3.2.5. ウ、よって、個別財産である甲につき法定「相続分」である1/2を超えるX単独所有について「第三者」Yに対抗できない