小林一彦著 「100分de名著 "方丈記/鴨長明"」 読書メモ

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小林一彦著 「100分de名著 "方丈記/鴨長明"」 読書メモ により Mind Map: 小林一彦著 「100分de名著 "方丈記/鴨長明"」 読書メモ

1. 1.知られざる災害文学

1.1. 「方丈記」とは:

1.1.1. 1212年(鎌倉時代初期)に鴨長明に よって書かれた文学作品

1.1.2. 鴨長明は、58歳の時、日野で結んだ 小さな庵で、自らの境界をつづった

1.1.3. 災厄を迫力ある筆致で書き記 した日本最古の「災害文学」

1.1.3.1. 長明が20~30代の時に経験した5つの 災厄(さいやく)が書かれている

1.1.3.1.1. 長明はこの5つを「世の不思議」 と言い表した

1.1.3.2. 長明は「歴史的現在」の 手法で「方丈記」を書いた

1.1.3.2.1. 歴史的現在とは: 過去の出来事を、あたかもいま目の前で 起こっているかのように現在の時制を用 いて生き生きと再現してみせる表現技巧

1.1.3.3. 被害の後々の人々の行動にまで 目配りを怠らなかった

1.1.3.3.1. 災害の直後は、自然の巨大な力の前に人 間の無力さを痛感する人がたくさんいた のに、時間がたつにつれて忘れられる

1.1.3.3.2. 最終的な被害状況まで記している

2. 2.負け組 長明の人生

2.1. 鴨長明の生い立ち

2.1.1. 1155年頃生まれる

2.1.1.1. 下鴨神社として知られる賀茂御祖(かもの みおや)神社の正禰宜(しょうねぎ)の子と して生まれる

2.1.1.2. 下鴨神社は、江戸時代で 言えば大名レベルの家柄

2.1.1.3. 正禰宜とは: 下鴨神社の神官のうちで最高位

2.1.2. 大社の御曹司として下にも 置かずかしづかれて育つ

2.1.3. 7歳で「従五位下(じゅごいのけ)」 を叙爵(じょしゃく)する

2.1.3.1. 従五位下とは: 位階及び神階における位のひとつ

2.1.3.2. 位階とは: 功績のある者や在官者などに与えら れる栄典の一種

2.1.3.3. 叙爵とは: 初めて従五位下に叙せられること

2.1.3.4. 7歳での叙爵は非常に早い。順風満帆に いけば、世に名を顕したかもしれない

2.1.3.4.1. 終生、従五位下だった

2.1.4. 18歳で父が死去

2.1.4.1. すみわびぬ いざさはこえむ死出の山 さてだに親の跡をふむべく

2.1.4.1.1. 長明が詠んだ歌

2.1.4.1.2. 意味: 自分はもう生きていくのが嫌になった。父の後を追って死出の山を越えて しまおう。そうなって初めて自分は父の歩んだ道をたどることができるの だ。この世ではもうそれはできないのだから

2.1.5. 父方の祖母の家を継ぐ

2.1.5.1. 長明は、ちやほやされて育ったため、独 り立ちできていない人物というイメージ で周囲からとらえられていた

2.1.5.2. 見ればまづ いとど涙ぞもろかづら いかに契りてかけはなれけむ

2.1.5.2.1. 長明が詠んだ歌

2.1.5.2.2. 意味: 諸葛(もろかずら)を見ると、涙がこぼれてならない。いったいどんな因果 で、自分はこんなにも鴨社から遠く隔たってしまったのだろう

2.1.5.3. 鬱憤を晴らすかのように、和歌と音楽に 打ち込み、絶望を希望に転じようとした。

2.1.5.3.1. 和歌

2.1.5.3.2. 音楽

2.1.6. 妻子があったとも伝えられる

2.1.7. 27歳の時、「鴨長明集」という私家集 (個人の歌集)を自選する

2.1.8. 祖母の家やとの縁が切れ、妻子とも 別れる

2.1.9. 「独居人」としての人生が始まる

2.1.9.1. 最初は鴨川のほとりで暮らし始める

2.1.9.1.1. 鴨川のほとりの家は、今までの屋敷と 比べると1/10の大きさだった

2.1.9.1.2. 鴨川のほとりは、治安の悪い場所 だったらしい

2.1.9.2. 鴨社内の人々との交際も絶っていた

2.1.10. 47歳、後鳥羽院から声が掛かり「新古 今和歌集」の特別編纂に寄人(よりゅ うど)として加わる

2.1.10.1. 寄人とは: 当代一流の歌人であることの証明

2.1.10.1.1. 同じ寄人だった面々は、当代選り すぐりの文学的エリートだった

2.1.10.2. 後鳥羽院: 上皇にして、すぐれた歌人

2.1.10.3. 長明は自分が認められたことに感激し て、人が変わったように仕事に励んだ

2.1.10.3.1. 後鳥羽院が長明の精勤を聞き、下鴨神社 の摂社である河合社の禰宜職に欠員が出 たので、長明をその座につけようとした

2.1.10.3.2. 摂社とは: 本社に付属し、その祭神と縁の深い神を祭った社

2.1.11. 50歳で出家し、大原に隠棲する

2.1.12. 飛鳥井雅経が、3代目将軍源実朝(さねとも) の和歌の師匠になる話をもってきてくれた

2.1.12.1. 実朝は、卓越した歌才に恵まれた 人物だった

2.1.12.1.1. しかし、実朝からよく思われず、 結局、実朝は藤原定家に師事した

2.1.13. 日野に移り住む

2.1.13.1. 庵の大きさは、屋敷の1/100の大きさ だった

2.1.13.2. 終(つい)の棲家とした

2.1.13.2.1. 現在、河合社の境内に、「方 丈記」の記述をもとに、庵が 復元されている。

2.1.13.2.2. 庵は四畳半の茶室のような感じだった

2.1.14. 「方丈記」を執筆する

2.1.14.1. 負け犬人生がいよいよ極まったことが、 長明が自分の人生の総決算として筆を執 らせたのではないか。

2.1.14.2. 「長明ここにあり」という自分が生きた 照明をなんとか世に残したい気持ちが、 人生の最後に結晶したと言える

2.1.14.3. 「方丈記」は三大随筆のひとつ

2.1.14.3.1. 「枕草子」

2.1.14.3.2. 「徒然草」

3. 3.捨ててつかんだ幸せ

3.1. 「方丈記」

3.1.1. 有名な冒頭部分

3.1.1.1. ゆく河の流れは絶えずして、しかももと の水にあらず。よどみにうかぶうたかた はかつ消えかつ結びて、久しくとどまり たるためしなし。世の中にある人と栖(す みか)と又かくのごとし。

3.1.1.1.1. 意味: 流れる川の流れは絶え間ないが、しかし、その水はもとの水ではない。 よどみの水面に浮かぶ泡は消えては生じて、そのままの姿で長くとど まっているためしはない。世の中の人間と住まいも、これと同じなのだ

3.1.2. 「方丈記」は仏教的無常観に基づいた書と 言われ、人の世のはかなさを表現した作品

3.1.2.1. 知らず、生まれる死る人、いづかたより きたりて、いづかたへか去る。また知ら ず、仮のやどり、誰が為にか心をなやま し、なにによりてか目をよろこばしむ る。そのあるじとすみかと、無常をあら そふさま、いはば朝顔の露にことなら ず。或は露落ちて、花残れり。残るとい へども、朝日は枯れぬ。或は花しばみ て、露なほ消えず。消えずといへども夕 を待つ事なし。

3.1.2.1.1. 意味: 住人の命尽きても住居は残る。しかしその住居「朝顔」も朝日に枯れてし まう。住居が先に失われて後に住人が残っても、しかしその住人「露」も 夕刻を待つことなく消え失せてしまうのだ

3.1.2.2. 結局、この世には、心休まるところはど こにもない。どんな仕事をして、どのよ うに生きても、ほんの一瞬も、この社会 では心安らかに暮らすことはできない

3.1.2.2.1. 世の中の常識に従えば窮屈だが、自由き ままを通すと、見た目は狂人とそっくり 同じに映る

3.1.2.3. 人間社会というのは得体の知れない恐ろ しいところだから、なるだけ遠ざかろう と考えた。ただ静かに暮らすことだけを 望んで、憂いのない生活を楽しんでいる

3.1.3. 「方丈記」の特徴として、住まいに 重点が置いている

3.1.3.1. 住まいに重点を置くのは、きわめて 日本人的な発想

3.1.3.1.1. 日本人は家にこだわる

3.1.3.2. 長明は、庵のことを「老たる蚕の 繭を営む」と書いている

3.1.3.2.1. 長明にとって庵は、自分をぴったり と包んでくれる繭のようなもの

3.1.3.3. 庵での暮らしぶりを生き生きと 楽しそうに記述した

3.1.4. 「方丈記」は和漢混交文

3.1.4.1. 和漢混交文とは: 中世に広まった文体で、漢字仮名 交じりで書かれたもの

3.1.5. 「方丈記」には持てる者への 復讐の書という一面がある

3.1.5.1. 長明は、財宝も持っておらず豪邸にも住 んでいない、あるのはほんのちっぽけな 庵だけだが、心が満ち足りているので、 とても幸せだと主張している

3.1.5.2. 権力をもち、富裕な暮らしをしている貴 族らに対して「私は山奥でつつましく暮 らしてこんなに幸せですよ。あなたたち は本当に幸せなのですか」と問いかけて いる

3.1.5.2.1. あたな方は、私のことを敗北者だと思っ ているだろうか、そうではないと長明は いいたかったのではないだろうか。

4. 4.不安の時代をどう生きるか?

4.1. 人は、生きている限りものを欲し、もの を集め、ものをため込んでいくのが一般的

4.1.1. しかし、長明は本当に必要なものしか 持たないシンプルライフを送る

4.1.1.1. 長明は、執着というものを恐れた

4.1.1.1.1. しかし、文学と音楽への執着は、 最後まで捨てきれなかった

5. 感想

5.1. 鴨長明の生い立ちが詳しく書いてあり、勉強になった