1. 基礎知識
1.1. 音の成り立ち
1.1.1. 言葉とは
1.1.1.1. 「言葉とは歌うという領域に付着した不純物である」
1.1.1.1.1. 赤子の時は音と響きしか使えない
1.1.1.2. 「音楽ではなく装飾された雑音」
1.1.1.2.1. 慢性的な神経支配
1.1.1.3. 歌う事とは別の進化
1.1.1.3.1. 本来喜怒哀楽等の表現で音の使い方を知っている
1.1.2. 自由な発声とは
1.1.2.1. 緊張のある状態 (力んでいる)
1.1.2.1.1. 自由な筋肉の動きの阻害
1.1.2.2. 緊張の無い状態 (リラックスしている)
1.1.2.2.1. それぞれの筋肉の緊張、弛緩、伸展がコントロールできている状態
1.1.2.2.2. 筋肉の本当の活力は「力の強さにあるのではなく、その可動性の中にあるのである」
1.2. 聴覚の重要性
1.2.1. 音像(音の構成の聞き分け)が重要
1.2.1.1. 音は作用した筋肉によって作られた声帯によって構成される
1.2.1.2. 音の調整は耳を通して行われるのではなく、内部知覚を通して調整している。
1.2.1.3. 聞いた音を知覚し、真似し、修正する能力を持っている。
1.2.1.3.1. 正しく音を認知し区別する事が無理のない発声に繋がる。
1.3. 喉頭懸垂機構の重要性
1.3.1. 現代人は健全に機能が損なわれている
1.3.1.1. 地声
1.3.1.1.1. 音程の上下がおぼつかない
1.3.1.1.2. ファルセットに移行できない
1.3.1.2. 弱いファルセット
1.3.1.2.1. 音程がふらつく
1.3.1.2.2. 音の強さが無く低音域に向かうにつれて吐息になっていく
1.3.2. 様々な問題は正しいトレーニングによって神経を再開発する必要がある。
2. 歌う事と話す事
2.1. 歌う際の言葉づくり
2.1.1. ”言葉は歌うという領域に付着した不純物”
2.1.1.1. 母音の組み合わせの重要さ
2.1.1.1.1. 最終的にどの母音も同じ位置での発声ができるようにならなければならない
2.1.1.1.2. どの母音も他の母音と何らかの共通の特性を得ている
2.1.1.1.3. 母音の基本形に対する機能的な偏りを克服しなければならない
2.1.2. 話し言葉と歌う言葉は性質が違う
2.1.2.1. 歌う際に高音は喉頭の全機能の発揮が必要になる
2.1.2.1.1. 母音から他母音に移る際に声帯の隙間をコントロールし、一定に保つ必要がある
2.1.2.1.2. 歌う事とは母音によっても子音によっても妨げられる事のない、長く続く線に乗せて、音を紡ぐ事
2.1.2.2. バランスの悪い状態では弱い部分の傾向が消え去り、強い部分の傾向が残る
2.1.2.2.1. 話し言葉に依存すると、裏声系が著しく劣化する
2.1.3. 原始母音
2.1.3.1. u i a
2.1.3.1.1. 猫 i a u
2.1.3.2. e o母音は中間
2.1.3.2.1. u i a母音の組み合わせを練習する
2.2. 母音u
2.2.1. 喉を開く働きがある
2.2.1.1. 声帯の開き
2.2.1.1.1. 全長にわたって隙間がある状態
2.2.2. 喉頭懸垂機構の緒筋を使う
2.2.2.1. 胸骨甲状骨
2.2.2.1.1. 前下方に引く
2.2.2.1.2. 胸骨と喉頭を結ぶ筋肉
2.2.2.2. 茎状咽頭筋
2.2.2.2.1. 後ろ後方に引っ張り上げる
2.2.3. デックングという原理が練習される
2.2.3.1. ある程度”声的”な性質を保ったままの発生
2.2.3.1.1. 音と母音の中間の性質
2.2.3.1.2. アンザッツNo4
2.2.3.2. あくびの喉
2.2.4. u母音の予測
2.3. 母音i
2.3.1. 声帯緊張筋が緩む
2.3.1.1. 声帯の開き
2.3.1.1.1. 声帯のほぼ中心に楕円形の開きを残している
2.3.1.2. ”純粋なファルセット”に使用する事がある
2.3.1.2.1. Fi - u
2.3.1.3. 総じてファルセットの練習に用いられる
2.3.1.3.1. アンザッツNo5
2.3.2. 固有の声帯伸展筋
2.3.2.1. 輪状甲状筋と共に後筋を使用
2.3.3. 固有の声帯閉鎖筋
2.3.3.1. 側筋および横筋
2.3.3.1.1. 位置確認必要※
2.3.4. 喉頭懸垂機構の引き上げ筋を使う傾向が強い
2.3.4.1. 甲状舌骨筋
2.3.4.1.1. 対抗筋として輪状咽頭筋で喉頭を下方へ牽引している状態
2.4. 母音a
2.4.1. 喉頭懸垂機構の働き
2.4.1.1. 声帯伸展筋”ほぼそのまま、働かないでいる”
2.4.1.1.1. 声帯緊張筋(声帯内部の筋肉””声帯筋組織)
2.4.1.2. 甲状舌骨筋がi母音よりも強く働く
2.4.1.2.1. 仮声帯の影響が強い
2.4.1.3. 喉頭を軽く前景に引っ張り、喉頭蓋はやや倒れ気味になる
2.4.1.3.1. ファルセットには不向きな母音
2.4.1.3.2. 喉頭蓋
2.4.2. 声帯の開き
2.4.2.1. ”最善の状態である状態の時は常に”声帯縁の筋束の働きによって完全に閉じる
2.4.2.1.1. 披裂-声帯筋
2.4.2.1.2. 甲状-声帯筋
2.4.2.2. 純粋なa母音の形成は縁辺筋の働きがないと不可能
2.4.2.2.1. 特定の音色が入る
2.5. 無声子音
2.5.1. b,d,g,f ”通常”: s,r"イタリアだと"
2.5.1.1. イタリア語は特定の発音が必要になる為、トレーニングの一部として取り入れる事が推奨される
2.5.1.1.1. 他言語には習得し難い概念
2.5.1.2. 呼吸と切り離した音の練習が必要
2.5.1.2.1. 唇、舌、口蓋で音を作る
2.5.1.3. 習熟すると
2.5.1.3.1. 話すような歌い方やラップ等も歌えるようになる
2.5.2. 有声子音
2.5.2.1. m,n,i,w : s,r
2.5.2.1.1. 音響的な効果を度外視すれば、そこまで重要な点ではない
2.5.2.1.2. 神経支配の強化の為に使用する事が多い
2.6. 指導的観点
2.6.1. 話し声を教育された人の特徴
2.6.1.1. 声門閉鎖筋と声帯緊張筋は神経支配が行き届いている
2.6.1.2. 喉頭懸垂機構の関与が弱く、呼気筋の働きが弱い
2.6.2. 話し声とは
2.6.2.1. 偏った神経支配を巧妙に使いこなす事
3. ふつうの発声器官に見られる 欠陥、弱点、故障、合併症
3.1. 喉の硬直
3.1.1. 話し声の蔓延
3.1.1.1. 喉頭懸垂機構の劣化
3.1.1.1.1. 神経支配の不足
3.1.1.1.2. 筋肉の軟弱化
3.1.1.1.3. 使わない為に起こる筋肉の萎縮
3.1.1.2. 劣化した筋肉を補助する為に関係ない筋肉を巻き込む
3.1.1.2.1. A
3.1.1.2.2. B
3.1.1.2.3. C
3.1.1.2.4. 喉頭懸垂機構がしっかり懸垂保持を行えるのなら、 舌骨や舌骨の上に配置する筋肉が緊張、硬直することはない。
3.2. 喉頭に対する呼気圧迫
3.2.1. 練習をし始めるに当たって誰にも起こる合併症の一つ
3.2.1.1. 呼気圧迫の感じ方
3.2.1.1.1. 腕を水平にする
3.2.1.1.2. 腕を弛緩させ、自然の体位に戻す
3.2.2. 呼気圧迫がある状態での訓練はしてはならない。
3.2.2.1. 呼気圧迫をしなければならない、という状況を完全に解除する事が重要
3.2.2.1.1. この点は発声の前提条件
3.2.2.1.2. できているのなら筋組織は流動的に動き、下からの呼気や、 上からの、舌ー舌骨ー嚥下筋が過剰に働かせる事はなくなる。
3.2.2.2. 声の支え、としての役割は担えない。
3.2.2.2.1. 使用している筋肉のバランスが悪い
3.2.3. 不安定な精神は、発声するに当たって不要な緊張を催す
3.2.3.1. 完全な声を目指しても、不安定な感情や肉体の状況によって起きる不一致が成長を阻害する。
4. 呼吸器官の基本的循環運動
4.1. 歌う事は様々な筋力を使い作られた総和である
4.1.1. 話し言葉は特定の筋肉を使わない為、神経支配が劣化している
5. 解剖と生理
5.1. 喉を構成している要素
5.1.1. 骨格
5.1.1.1. 甲状軟骨
5.1.1.2. 輪状軟骨
5.1.1.3. 披裂軟骨
5.1.1.4. 喉頭蓋
5.1.1.4.1. 物を飲み込む時に必要になる蓋
5.1.1.5. 舌骨
5.1.1.5.1. 喉頭は舌骨から吊り下がっている構造
5.1.2. 筋肉
5.1.2.1. 声帯(甲状輪状筋)
5.1.2.1.1. 声唇
5.1.2.1.2. 声帯靭帯
5.1.2.1.3. 同じ声帯ではあるが、別々の役割を持っている
5.2. 喉頭懸垂機構
5.2.1. 引上げ筋(拳上筋)
5.2.1.1. 咽頭を上方に引っ張る役割
5.2.1.1.1. 甲状舌骨筋
5.2.1.1.2. 口蓋張筋(口蓋挙筋)
5.2.1.1.3. 茎状咽頭筋
5.2.1.1.4. ※咽頭括約筋 (力みに関与)
5.2.2. 引下げ筋(下降筋)
5.2.2.1. 拳上筋と拮抗して喉頭を降ろす役割
5.2.2.1.1. 胸骨甲状筋
5.2.2.1.2. ※輪状咽頭筋※
5.2.3. 間接的喉頭懸垂筋
5.2.3.1. 間接的ではあるが直接的な要因と変わらない影響力を持つ筋肉
5.2.3.1.1. 喉頭を下に下げる筋肉
5.2.3.1.2. 高音を出す際に舌骨より上の筋肉が誤って力む可能性を防ぐ役割が考えられる(研究結果が出ていない)
5.2.3.2. 肩甲舌骨筋
5.2.3.2.1. 舌骨から肩甲骨に伸びる筋肉
5.2.3.3. 肩甲胸骨筋
5.2.3.3.1. 舌骨から胸骨に繋がる筋肉
5.2.4. 健全に機能しないと…(40p)
5.2.4.1. 声門より上に位置する
5.2.4.1.1. 顎舌骨筋、顎二腹筋、茎状咽頭筋等の舌骨筋群
5.2.4.1.2. 嚥下に機能する咽頭筋群
5.2.4.2. 引下げ筋が健全に機能していない事で、上記の筋肉が引下げ筋の代わりに機能してしまう
5.2.4.2.1. つぶれた声、だんご声になる
5.2.4.2.2. 圧迫声
5.2.4.3. 引上げ筋が健全に機能していない事で、甲状舌骨筋が勝手に動いてしまう
5.2.4.3.1. 喉頭が勝手に上がってしまっている状態
5.2.4.3.2. 引上げ筋である甲状舌骨筋は、外部の声帯閉鎖筋と対抗筋に位置する事は確か
5.2.4.3.3. この状態では、引下げ筋のコントロールが効かず、呼吸筋群との連携もままならない。
5.2.4.4. これら全ての症状の解決させるには
5.2.4.4.1. まず第一に呼吸筋を健全な状態に目覚めさせる必要がある
6. 呼吸
6.1. 声の支え
6.1.1. 声帯の弾性力の高め方
6.1.1.1. 腕と上部胸筋を使用して重量物を持ち上げる際の力の入れ方
6.1.1.1.1. 腹筋
6.1.1.1.2. 横隔膜
6.1.1.1.3. 下部肋間筋および下部背筋
6.1.1.2. 持ち上げた際に食道(輪状喉頭筋と輪状咽頭筋)を閉鎖
6.1.1.2.1. 空気の流入を防ぎ胸腔の圧力は低くなる
6.1.1.2.2. 声の支えの感覚
6.1.1.3. 上記は「呼気は何の働きもせず、呼気から活動力が奪われている」状態
6.1.1.3.1. この状態は呼吸器と咽頭の機能的連携に技術は必要としない
6.1.1.3.2. 正しい呼吸の仕方を再確認する必要
6.1.2. 間違った声の支え
6.1.2.1. 咳、排便、お産等の感覚
6.1.2.1.1. 胸腔内が圧迫されて、声帯と仮声帯が強く精密な接触している状態
6.1.2.1.2. 声門下圧を高め
6.1.2.2. 仮声帯
6.1.2.2.1. 強い呼気の流出を防ぐ為に強く作用させる
6.1.2.2.2. 仮声帯の支えは「呼気力が主役を演じる」
6.2. 筋緊張性呼吸調整
6.2.1. 美的、衛生的、声楽発声的に要点
6.2.1.1. 「肺にたくさん空気を吸い込んだ時には横隔膜の筋緊張は少なく、締まりのない横隔膜は横隔膜は胸腔内へ引き込まれる。」
6.2.1.2. 「肺の空気が少ない時は横隔膜の筋緊張は大きく、横隔膜は比較的平らになって低い位置を取る」
6.2.1.3. 息を吸いすぎる状態は、全呼吸器の感覚を阻害する
6.2.1.3.1. 横隔膜を過度に緊張させ、空気が吸えない状態を作り出す
6.2.2. 出来ていると
6.2.2.1. 横隔膜の緊張の増減は、自動的に、肺の空気の「量」によって行われる
6.2.2.2. いつ息をしたか分からない呼吸
6.2.2.2.1. 個人的に吐き出す際に下に向かって息を吐く感覚
6.2.2.2.2. 息を吸うときは声帯を開くだけ
6.2.2.3. 声が軽くなる
6.2.2.3.1. 声帯の伸展した響きが入る
6.2.3. 出来ていないと
6.2.3.1. 要点で記載された内容と横隔膜の認識が反転する
6.2.3.1.1. 息を上に向けて吐く感覚
6.2.3.1.2. 息を吸いに行く必要がある
6.2.3.2. 声が重くなる
6.2.3.2.1. 地声の響きが入り音程の上下が取りずらくなる
6.3. 呼吸の足場枠組み
6.3.1. 声楽的発声における呼気には安定性が必要であり、足場に位置する土台が整えられている必要がある
6.3.2. 呼吸筋と体幹筋
6.3.2.1. 脊椎伸筋
6.3.2.1.1. 尾骨の上半部から起こり脊椎を上方に走って頸部に達し、多数の強い筋その集合で出来ているが、頭蓋底まで連続しているものもある。
6.3.2.2. 下部腹筋(帯から下方)
6.3.2.2.1. ふんどし筋
6.3.2.3. いくつかの臀部の筋肉
6.3.2.3.1. 骨盤底筋の一部
6.3.2.4. これらの筋肉が稼動する事で骨盤を前方に回す。
6.3.2.4.1. 一般的には使われず発達が悪い
6.3.2.4.2. これらの動作は”動きを固定”するのではなく”動きの中”で発達していく
6.4. 純粋な呼吸運動
6.4.1. 呼気の呼出は胴体下部の内部上方への運動によって行われる
6.4.1.1. 胸部を沈下させて上から呼出を促すと声楽発声機構は破綻する
6.4.1.1.1. 胸骨-咽頭筋:引下げ筋の収縮ができなくなってしまう。
6.4.1.2. この状態は胸郭が小さく上昇(横方向に開く胸が開く感覚)し、喉頭懸垂機構との連携が生じる
6.4.1.2.1. 肉体的動作ができている場合、舌骨筋や舌筋の癖が消えているはず
6.4.1.3. この状態が発声の零点であり、正門が大きく開いているため呼出の際の息の流出が多すぎる
6.4.1.3.1. ショットブレスのような一瞬で吐ききる動作
6.5. 対応運動
6.5.1. 純粋な呼気運動の項目を前提とする
6.5.1.1. 横隔膜の筋収縮(呼出)の際に”吸気傾向を捨てない”
6.5.1.1.1. 吐く動作と吸う動作を拮抗させる事で息の呼出のコントロールを行う
6.5.1.1.2. ”この過程と同時に声帯は伸展し、声門が閉じる”
6.5.2. 横隔膜について
6.5.2.1. 横隔膜の始点は背中についている
6.5.2.1.1. 歌唱に際しての推進力の主体が”下背部”から行われる
6.5.2.1.2. 間違ったやり方
7. 吸気
7.1. 呼吸の項目が理解できていないと、 正しい吸気を行うことはできない
7.1.1. 出来ていない場合は呼吸に戻る
7.2. ”現代の吸気は肺にたくさんの空気を吸う事に焦点が当たっている” 過剰な力み、余計な神経伝達を巻き込む発声につながる。
7.2.1. 大きく膨張させた肺には呼気としての力がなくなる
7.2.1.1. 肺活量の低下
7.2.2. 肺の末端まで空気を絞り出す事で新たな空気が肺に入る
7.2.2.1. 緊張性呼吸調整を取り入れた呼気である場合、呼気と吸気の量はイコール
7.2.2.1.1. その際に無駄な緊張などはない
7.2.3. 医学誌「吸気の際吸えなくなるまで吸い込み、呼気の時に力を抜くと息が抜け出る」
7.2.3.1. 初めは一つの助けとなるが、のちに別の問題を生み出す
7.2.3.2. 肺内部の空気の循環ができず、呼吸ができない
7.2.3.3. 横隔膜の過緊張により、弛緩とそれに伴うコントロールができなくなる
7.3. 呼吸法を会得するに当たって
7.3.1. 反応力、弾性、伸縮性、敏捷性
7.3.1.1. これらを高めるのが正しい
7.3.1.2. 筋肉の本当の活力は「力の強さにあるのではなく、その可動性の中にあるのである」
7.4. 吸気筋に重きを置きすぎると
7.4.1. 肺下部に慢性的な膨張と側腹筋の無力化
7.4.1.1. 肺活量が低下する
7.4.2. 吸気筋自体は必要であり、呼吸器官と喉頭機関の連結に必要不可欠