マーケティング計画に含める項目
小さな会社にとって、マーケティング計画は大きな構想を、期限と予算のある具体的な作業に変えるものです。J-Net21(中小機構)によると、目標や施策を計画に落とし込むことで、具体的にすべきことが見えてきます。道路地図にたとえると、戦略が目的地を示し、計画がそこまでの道筋を示します。
この記事の例では、8つの基本項目を使います。
エグゼクティブサマリー: 計画全体の短い概要。最後に書き、冒頭に置く
ターゲット顧客: 届けたい顧客と、その顧客が大切にしていること
SWOT分析: 自社の強み、弱み、機会、脅威
目標: 数字と期限を入れた、少数の測定可能な目標
チャネル: メールやSNSなど、顧客に届く場所
予算: 1年間で各チャネルに使う金額
スケジュール: 各キャンペーンやプロジェクトを実施する時期
KPI: 計画がうまくいっているかを示す数字
事業計画とは違うのでしょうか。違います。事業計画は会社全体を扱い、マーケティング計画は顧客を獲得し、維持する方法に絞り込みます。では、8つの項目に実際の内容を入れるとどうなるかを見ていきましょう。
中小企業のマーケティング計画の例:地域のコーヒー焙煎所
Ridgeline Coffee Roastersは、オンラインショップと週末のマルシェ出店で販売する、2人体制の架空の焙煎所です。共同創業者の美咲と拓也は、オンラインの定期便を増やしたいと考えています。そこで、無料のマーケティング計画マインドマップをもとに、MindMeisterで計画を作ります。

エグゼクティブサマリー
サマリーは最初のブランチに置きますが、書くのは最後です。ほかの項目がすべて固まってから書きましょう。Ridgelineのサマリーは次のとおりです。
Ridgeline Coffee Roastersは2人で運営するスペシャルティコーヒーの焙煎所で、12か月で定期便の利用者を120件から300件に増やすことを目指します。メール、Instagram、週末のマルシェ出店に注力し、地域の提携先とLinkedInでのオフィス向け営業がそれを支えます。予算は180万円で、毎月第1月曜日に結果を振り返ります。
ターゲット顧客
Ridgelineは2人のペルソナを作り、どのメッセージも実在の買い手に届くようにします。ペルソナごとにサブブランチを用意します。
「自宅で豆を挽くハナさん」: グラインダーを持ち、スペシャルティの豆を買い、鮮度を重視する30代の顧客
「総務担当の大野さん」: 20人規模のオフィス向けに注文し、毎月の確実な配送を求める担当者
各ペルソナのブランチには、普段どこで情報に触れているかをメモします。ハナさんはInstagramと地域のニュースレター、大野さんはLinkedInです。このメモが、のちのチャネルのブランチを形作ります。
SWOT分析
SWOT分析は、率直に書くほど役に立ちます。Ridgelineのマインドマップでは、各象限に2つずつ挙げています。
強み: 焙煎から48時間以内のお届けと、マルシェの常連客
弱み: 少ない予算と、400件しかないメールリスト
機会: オフィス向けコーヒー定期便と、お歳暮・年末ギフトの時期
脅威: スーパーのスペシャルティコーヒー商品と、生豆価格の上昇
それぞれの項目が、あとのブランチにつながります。オフィス向けの機会は目標になり、少ない予算はチャネルの数を絞る理由になります。さらに詳しく知りたい方は、目標を決める前にチームでSWOT分析を進める方法をご覧ください。
目標
RidgelineはSWOTをもとに、具体的、測定可能、達成可能、関連性がある、期限があるという3つのSMART目標を立てます。
12か月目の終わりまでに定期便を300件にする
6か月でメールリストを400件から1,500件に増やす
9か月目までにオフィス顧客を10社獲得する
目標ごとにブランチを分けるので、進み具合がひと目でわかります。1年を通して進捗を追うなら、マインドマップで目標を管理する方法を参考に、毎月マインドマップを更新しましょう。
チャネル
Ridgelineの計画では、どのチャネルも、それが支える目標から枝分かれしています。目標を支えないチャネルは、マインドマップに載せません。
メール: 新規の定期便利用者向けのウェルカムメールと、毎月の焙煎レポート
Instagram: 焙煎日のリール動画と、焙煎所の舞台裏
マルシェ出店: 初回購入割引につながるQRコードをブースに設置
地域の提携先: 2軒のカフェと1か所のコワーキングスペースとの共同キャンペーン
LinkedInでの営業: チームの分をまとめて購入する総務担当者へのダイレクトメッセージ
この構成で、ばらばらだったチャネルの一覧が、取り組みから成果までの明確な流れに変わります。
予算
Ridgelineは年間180万円という仮の予算で、項目ごとに次のように配分します。
メール配信ツールに9万円
Instagram広告に54万円
サンプル・出店資材に36万円
写真撮影に27万円
提携イベントに24万円
予備費に30万円
ハナさんがよく見ているのはInstagramなので、Instagram広告が最も大きな割合を占めます。詳細な表計算シートは、予算のブランチに添付しておきます。こうすれば、数字と計画を同じ場所で管理できます。
スケジュール
スケジュールのブランチでは、1年を四半期に分け、それぞれにはっきりしたテーマを設けます。
第1四半期にウェルカムメールの配信と定期便ページの刷新
第2四半期にオフィス向け営業とカフェとの提携
第3四半期に夏のコールドブリューキャンペーン
第4四半期にお歳暮・年末ギフトのセット販売
このように作業を分散すれば、2人の共同創業者がすべてを同時に始めずに済みます。どの四半期も、少なくとも1つの目標につながっています。
KPI
RidgelineはKPIのブランチで5つの数字を追います。
定期便の利用件数
月ごとの定期便の解約率
マルシェ出店日ごとのメール登録数
新規定期便利用者1件あたりの獲得コスト
獲得したオフィス顧客の数
共同創業者は毎月第1月曜日にこれらの数字を確認します。どの数字も目標に結びついているので、数字が下がれば、手を入れるべきブランチがすぐにわかります。遅れているブランチは、改善するか計画から外します。
マーケティング計画の作り方:6つのステップ
白紙の状態から、どこに手をつければよいのでしょうか。Ridgelineと同じ順番で進め、各ステップは短くまとめましょう。
1. 事業の目標から始める
マーケティング計画は、会社としてすでに決めた戦略を支えるものです。戦略をまだ文書にしていない場合は、先に事業計画書を作りましょう。
事業計画が戦略を担い、マーケティング計画がそれを行動に移します。事業の目標を1つか2つ、マインドマップの最初のブランチに書き出しましょう。そうすれば、どのキャンペーンも事業にとって大切な理由と結びつきます。
2. ターゲット顧客を具体的に描く
何かを書き始める前に、5人の顧客と話してみましょう。購入した理由、購入をためらいかけた理由、新商品を知る場所を聞きます。その答えをもとに、ペルソナを1つか2つ作ります。
顧客が使った言葉をそのままメモしておきましょう。そうした言葉は、あとで力のある見出しになります。
3. SWOT分析で現状を正直に見る
メンターや常連客、ほかの経営者など、外部の人に一覧を見てもらい、意見をもらいましょう。願望より事実を優先します。「お客さまに愛されている」は願望ですが、「マルシェのお客さまの多くが毎月リピートしている」は確かめられる事実です。
4. 測定可能な目標を3つ決める
SMARTの形式を使い、どの目標にも数字と期限を入れます。目標が少ないほど、焦点がはっきりします。
小さなチームなら、目標は3つで十分です。目標ごとにブランチを分けると、並べて見比べられます。
5. チャネル、予算、スケジュールをまとめて決める
チャネル、予算、日程は、互いに影響し合うので一度に決めましょう。8つのチャネルに薄く手を広げるより、3つをしっかり運用するほうが成果につながります。新しいチャネルを加える前に、各チャネルの予算と開始日を決めておきます。
6. KPIと振り返りのリズムを決める
目標に直接つながるKPIを3〜5つ選びます。毎月の振り返りを設定し、成果の出ないブランチは整理して、成果の出るブランチを伸ばしましょう。最初の振り返りの日を今すぐカレンダーに入れておけば、先延ばしになりません。
ほかの中小企業向けマーケティング計画の短い例
同じ8項目の構成は、ほとんどの小さな会社に当てはまります。ここでは、3つの業種で中心トピックと主なブランチをどう埋めるかを紹介します。
地域のサービス業:美容室
週末は忙しく平日は空きが多い美容室では、その空き時間を埋めることを軸に計画を立てます。マインドマップは小さく、焦点を絞ったものになります。
店名と「平日の予約枠を埋める」という目標を書いた中心トピック
Googleビジネスプロフィールの口コミ、LINEでの再来店リマインド、紹介カードのチャネルブランチ
平日の稼働率を追うKPIブランチ
フリーランス:ブランドデザイナー
1人で活動するブランドデザイナーは、収入を安定させたいと考え、長く付き合える顧客を計画の中心に据えます。単発の案件も受けますが、重点は月額契約の顧客です。
スタジオ名と「月額契約の顧客を2社獲得する」という目標を書いた中心トピック
LinkedInでの事例紹介、ポートフォリオサイト、提携エージェンシーのチャネルブランチ
月ごとの初回相談の件数を追うKPIブランチ
オンラインショップ:手作りキャンドルの店
小さなキャンドルショップはすでに初回注文を獲得しているので、リピーターを増やすことに狙いを定めます。どのブランチも、お客さまにもう一度来てもらう方法を考えます。
店名と「リピート購入率を上げる」という目標を書いた中心トピック
メール、Instagram、オンラインモールへの出品のチャネルブランチ
リピーターの割合を追うKPIブランチ
MeisterTaskでマーケティング計画をタスクに変える
計画が機能するのは、チャネルやスケジュールの各項目に担当者と期限があるときです。MeisterTaskはMindMeisterと連携できる、独立したワークマネジメントプラットフォームです。連携機能を使えば、チャネルやスケジュールのブランチにあるトピックからタスクを作れます。
Ridgelineでは、「第2四半期 カフェ提携の提案」というトピックが、共同創業者の美咲が担当し4月15日が期限のタスクになります。計画から作ったタスクの例を3つ紹介します。
第2四半期 カフェ提携の提案、担当は美咲、期限は4月15日
第1四半期 ウェルカムメールの作成、担当は拓也、期限は1月31日
第3四半期 コールドブリューのリール動画撮影、担当は拓也、期限は7月10日
マインドマップは計画として、MeisterTaskのボードはやることリストとして使い分けましょう。ボードは今週やることを示し、マインドマップはそれがなぜ大切なのかを示します。
マーケティング計画でよくある失敗
よく調べて作った計画でも、途中で止まることがあります。計画を作るときは、次の5つの落とし穴に気をつけましょう。
チャネルが多すぎる: 少ない予算を8つのプラットフォームに分けると、どれも成果が出るほど手をかけられません
数字のない目標: 「ファンを増やす」は聞こえはよいものの、達成したかどうかがわかりません
チャネルと結びつかない予算: 支出が特定のチャネルに結びついていないと、何が成果につながったのか見えません
担当者があいまい: 担当者の名前がないタスクは後回しになりがちです。全員が何役もこなしているならなおさらです
作ったまま放置する計画: フォルダーにしまったままの計画は変化に対応できないので、毎月の振り返りをカレンダーに入れましょう
こうした失敗を早めに直せば、計画は1年中役に立ちます。
MindMeisterでマーケティング計画を形にする
よいマーケティング計画の例には、すべての項目に実際の内容があり、行動に移せる数字、名前、日付が入っています。Ridgelineの計画がうまくいくのは、どのブランチも明確な問いに答え、目標とつながっているからです。
MindMeisterなら、計画をマインドマップにまとめ、各ブランチにメモや添付ファイルを追加し、共同創業者や代理店とリアルタイムのコラボレーションで磨き上げられます。プレゼンテーションモードでチームに計画を説明し、事業の成長に合わせてマインドマップも育てていきましょう。
MindMeisterでマーケティング計画を作成


