事業計画書に必要な構成と項目
銀行融資の申請、投資家からの資金調達、新事業の方向づけなど、目的が違っても事業計画書の基本的な構成はほぼ共通です。J-Net21(中小企業基盤整備機構)の事業計画書の解説では、サマリー、販売や生産を含む事業戦略、財務計画といった構成が示されています。これらの項目は、次の7つの章にまとめられます。
**エグゼクティブサマリー:**最後に書いて冒頭に置く、計画全体の短い概要
**会社概要:**ミッション、解決する課題、その課題を抱える顧客
**市場分析:**市場規模、ターゲット層、競合
**商品・サービス:**販売するもの、価格設定、満たす顧客ニーズ
**マーケティング・営業戦略:**顧客へのアプローチ、提供価値の打ち出し方、成約までの流れ
**オペレーション:**チーム、拠点、仕入れ先、日々の業務プロセス
**財務計画:**売上見込み、費用の内訳、損益分岐点に達する時期、必要な資金
章の並び順には意味がありますが、先頭のエグゼクティブサマリーだけは例外です。エグゼクティブサマリーは計画書の冒頭に置きますが、書くのは最後にしましょう。ほかの章がそろってからのほうが、全体を短くまとめやすくなります。
事業計画書の各項目は、互いに影響し合っています。市場分析はマーケティング戦略を左右し、オペレーションはコスト構造を決め、財務計画はその両方に左右されます。
これらを文書で順番に書くのは、1本の通りを歩いて街を覚えようとするようなものです。その区画の様子は細かくわかっても、地区どうしがどうつながっているかは見えません。
マインドマップなら、まず街全体を見渡せます。戦略計画で使うのと同じ全体像が得られるので、1文字も書く前に章どうしのつながりに気づけます。
MindMeisterで事業計画書の構成をマインドマップにする方法
次の7つのステップで、事業計画書の書き方の土台となる構成案が完成します。例として使うのは、シェアキッチンで夕食を作り、近隣の家庭に届ける小さな宅配事業「Fresh Route」です。自分の事業に置き換えながら進めてください。
ステップ1:中心トピックに事業名を入れる
MindMeisterで新しいマインドマップを開き、中心トピックに事業名を入力します。例では「Fresh Route」です。事業名の下に、「銀行融資の申請用」や「地元投資家向けのピッチ」など、計画書の目的を短いメモで添えます。
目的によって、あとで各ブランチに必要な詳しさが変わります。金融機関は融資をどう返済するかを、投資家は事業がどこまで成長できるかを知りたいからです。ほかの要素を加える前に、目的を決めておきましょう。
ステップ2:7つのメインブランチを追加する
中心トピックの周りに、事業計画書の章ごとにメインブランチを作ります。ブランチは文書に登場する順に、時計回りで配置します。一番上に「エグゼクティブサマリー」を置き、会社概要、市場分析と続けます。
エグゼクティブサマリーのブランチは、今は空けておきます。ほかのブランチがすべて埋まってから書き込みます。マインドマップが最初から文書の順番どおりに並んでいるので、あとで下書きにするときの手直しが減ります。
ステップ3:会社概要を整理する
会社概要のブランチに、ミッション、解決する課題、ターゲット顧客の3つのサブブランチを付けます。Fresh Routeのミッションは「忙しいご近所さんに家庭の味の夕食を」です。課題は、共働きの家庭には平日の夜に健康的な食事を作る時間がないことです。
ターゲット顧客は、配達エリア内の共働きの子育て世帯と高齢の住民です。ミッションや課題のブランチがあいまいに感じたら、先に進む前にバリュープロポジションを定義しましょう。この後のブランチはすべて、ここを土台にします。
ステップ4:市場分析を細かく分ける
市場規模、ターゲット層、競合のサブブランチを追加します。市場規模には、配達エリア内の世帯数と、そのデータの出どころを書きます。競合には2、3社を挙げ、それぞれの強みと弱みを添えます。
**フードデリバリーアプリ:**店の選択肢は豊富だが、サービス料で1回ごとの注文が割高になる
**近所のテイクアウト店:**常連客は多いが、健康的なメニューが少ない
**スーパーの総菜・弁当:**価格は安いが、加工度の高い食品が中心になる
こうした情報がまだなければ、計画の前にSWOT分析を実施しておきましょう。そうすれば、どの項目にも根拠を持たせられます。
ステップ5:商品・サービスを書き出す
商品やサービスごとにサブブランチを作り、価格帯と満たす顧客ニーズの2つの情報を付けます。価格帯は、今の段階では相対的な表現で十分です。Fresh Routeの商品は3つです。
**週間ミールプラン:**中価格帯で、平日の夕食をすべて任せたい家庭向け
**単品ディナー:**高価格帯で、忙しい夜にたまに注文したい家庭向け
**ファミリーボックス:**お得な価格帯で、4人以上で食卓を囲む家庭向け
ステップ6:マーケティングと営業を計画する
このブランチを、集客チャネル、価格戦略、販売プロセスに分けます。Fresh Routeのチャネルは、チラシ、地域のLINEグループ、地元のスポーツジムとの提携です。価格戦略では単品注文より定期購入を優遇し、販売プロセスでは無料のお試しディナーから週間プランへと顧客を導きます。
次に、ステップ4のフードデリバリーアプリの弱みから、新しいポジショニングのサブブランチへ関連線を引きます。サブブランチの内容は「サービス料なしで、地元の新鮮な夕食を」です。

ステップ7:財務計画の骨組みを作る
収益源、費用の内訳、損益分岐点までの期間、必要資金のサブブランチを追加します。「定期購入」「食材費」「キッチン賃料」のようにラベルだけにとどめ、数字はスプレッドシートに任せます。届けられる世帯数が売上の上限になるので、ステップ4の市場規模から売上見込みへ関連線を引きます。
仕上げの前に、オペレーションのブランチに4つのサブブランチを付けて、空の章をなくします。
**チーム:**調理担当2人、配達ドライバー1人、受注を担当する創業者
**拠点:**共同利用の業務用キッチン内の賃借スペース
**仕入れ先:**地元の農家と青果の卸売市場
**業務プロセス:**注文の締め切り時刻、梱包、配達ルート
オペレーションには、キッチンの貸主や仕入れ先など社外の関係者も関わります。早い段階でステークホルダーをマッピングしておきましょう。これらのサブブランチは、のちにオペレーションの章の各段落になります。
完成したマインドマップは考えを整理してくれますが、できることには限りがあります。財務モデル、市場調査、文書としての計画書の代わりにはなりません。
コストと売上の計算には、スプレッドシートが必要です。仮説を検証するには、実際の顧客データが必要です。そして金融機関や投資家は、読める形の事業計画書を求めます。

事業計画書のマインドマップ例3つ
同じ7つのブランチ構成で、まったく違う事業にも対応できます。

よくある3種類のスモールビジネスで、サブブランチがどう変わるかを見ていきましょう。
スモールビジネスの例:街のパン屋
パン屋は地域の需要に支えられるため、市場分析のブランチでは人通り、近くのオフィス、競合のパン屋に注目します。商品のブランチには、品目ごとの価格帯を付けたメニューを並べます。マーケティングは店頭販売と配達注文に分かれ、開業費用は財務計画の下に費目として置きます。
通りと時間帯ごとの地域市場分析
品目ごとに価格帯を付けた商品メニュー
店頭販売と配達のマーケティングチャネル
オーブン、内装工事、許認可にかかる開業費用の費目
フリーランスの例:1人で営むマーケティングコンサルタント
1人のコンサルタントには計画すべき店舗もスタッフもないので、オペレーションのブランチは小さくなり、営業のブランチが大きくなります。会社概要の中心は、ネット販売に移行したい個人経営の小売店など、ターゲットとなる顧客像です。仕事の多くは紹介から生まれるため、販売プロセスでは既存の顧客が新しい顧客を紹介する流れを描きます。
収益のブランチはマイルストーン用の目標設定テンプレートと組み合わせ、月ごとの売上目標を追跡できるチェックポイントに変えましょう。
業種と企業規模で絞ったターゲット顧客像
診断、戦略セッション、顧問契約などのサービスパッケージ
紹介を軸にした販売プロセス
マイルストーンとしての月次売上目標
スタートアップの例:小規模チーム向けのSaaS
SaaS(Software as a Service)のスタートアップでは、市場分析で事業機会の大きさを投資家に示す必要があります。市場規模を、TAM(獲得可能な最大の市場規模)、SAM(自社のサービスが対象にできる市場規模)、SOM(実際に獲得できる市場規模)に分けましょう。SOMは、SAMのうち実際に獲得できる見込みのある部分です。
そのほかのブランチには、フリーミアムの価格設定、主な集客チャネルとしてのコンテンツマーケティング、財務計画の下にランウェイ(資金が尽きるまでの期間)の見通しを置きます。
市場規模の下に置くTAM、SAM、SOM
有料アップグレードを用意したフリーミアム価格
顧客獲得のためのコンテンツマーケティング
18か月分のランウェイの見通し
マインドマップで防げる事業計画書のよくある失敗
説得力に欠ける事業計画書の多くは、同じような理由でつまずいています。先にマインドマップで構成を作っておけば、書き始める前にそれぞれの問題に気づけます。
市場分析を後回しにする:市場を理解しないまま作った売上予測は、根拠を説明できない数字になります。市場分析のブランチが空のままなら、すぐに気づけます。
章同士が矛盾している:ターゲット顧客に合わない価格戦略は、計画全体の説得力を下げます。関連線を引けば、整合性が必要な章が一目でわかります。
早い段階で細部に入りすぎる:細かな点を長々と書くと、計画の要点が埋もれてしまいます。サブブランチを短いキーワードにとどめると、何が重要かを先に決められます。
読み手を意識していない:銀行と投資家では、知りたいことが違います。中心トピックに目的のメモを添えておけば、すべてのブランチを想定する読み手に合わせられます。
完成したら見直さない:市場もコストも目標も変わります。マインドマップならすぐに更新できるので、長い文書を書き直さなくても四半期ごとに計画を見直せます。
構成ができあがったら、このリストで確認しましょう。当てはまるブランチがあれば、本文を書き始める前にマインドマップ上で直しておきます。
マインドマップから事業計画書を書き上げる
マインドマップは次のように文書へ置き換えます。メインブランチは章の見出しに、サブブランチは段落やデータに、関連線は章と章をつなぐ文章になります。エグゼクティブサマリーは、ほかの6つのブランチで全体のストーリーがそろってから最後に書き、冒頭に置きます。
その後、各マイルストーンをMeisterTaskのタスクに移し、担当者と期限を決めておけば、立ち上げの作業を初日から管理できます。
計画が承認されたら、マインドマップを使ったプロジェクト計画で、計画書のマイルストーンを立ち上げまでのスケジュールに変えられます。
MindMeisterでアウトラインモードに切り替えると、マインドマップを直線的な構成で表示でき、その骨組みから下書きを書けます。有料プランなら、Wordへのエクスポートも可能です。コメント権限付きでマインドマップを共有すればフィードバックが該当する章にひも付いて残るので、スモールビジネスのチームも迷わず修正を進められます。
事業計画書をマインドマップで整理しよう


