ブレインストーミング手法とは
ブレインストーミング手法とは、アイデアを評価する前にできるだけ多く出すための、再現可能な方法です。「ブレインストーミング手法」と「ブレインストーミングの方法」は同じ意味で使われます。
アレックス・オズボーンは1948年の『Your Creative Power』でブレインストーミングを紹介し、1953年の『Applied Imagination』でこの言葉を広めました。各手法はレシピのようなものです。何を、どの順番で、どれくらいの時間で加えるかを教えてくれます。
ほとんどのブレインストーミング手法には、3つの共通要素があります。
明確な問い: 全員で取り組む1つの共通課題
分かれたフェーズ: 先にアイデア発想、評価はその後
時間制限: 集中力を保つための決まった枠
ブレインストーミング手法を一覧で比較
下の表では、15のブレインストーミング手法を、向いている場面、実施形態、所要時間で比較しています。まず2〜3個に絞り込み、その後で各手法の詳細を確認しましょう。
手法
向いている場面
1人またはグループ
所要時間
マインドマップ
幅広いテーマを掘り下げる
1人またはグループ
10〜20分
フリーライティング
白紙の状態から抜け出す
1人
5〜15分
スターバースティング
計画を検証する
1人またはグループ
15〜30分
SCAMPER
既存のものを改善する
1人またはグループ
20〜30分
リバース・ブレインストーミング
隠れたリスクを見つける
1人またはグループ
15〜30分
ブレインライティングと6-3-5法
発言が少ないグループ
6人のグループ
30分
ラウンドロビン
均等に発言する
グループ
15〜30分
シックス・シンキング・ハット
バランスの取れた意思決定
グループ
30〜60分
ラピッド・アイディエーション
短時間で数を出す
1人またはグループ
5〜10分
ノミナル・グループ・テクニック
アイデアの順位付け
グループ
45〜90分
Crazy 8s
視覚的なコンセプトをすばやく出す
1人またはグループ
8分
ステップラダー法
一人ひとりの独立した意見
グループ
30〜60分
非同期ブレインストーミング
タイムゾーンをまたぐチーム
リモートのグループ
1〜3日
ブレインネッティング
書面でのアイデア出しラウンド
リモートのグループ
1〜2日
リアルタイムでの共同マインドマップ作成
その場でアイデアを発展させる
あらゆるグループ
20〜45分
個人向けのブレインストーミング手法
個人向けのブレインストーミング手法は、頭の中の批判的な声がアイデアを削る前に、考えを外に出すのに役立ちます。1人で使うのはもちろん、グループセッションの前の準備にも使えます。
これらの手法の一部は、アイデア出しの手法に関する記事でも取り上げており、そのうち7つをより詳しく解説しています。
マインドマップ
マインドマップでは、ページの中央に問いを置き、関連するアイデアを外側へ枝分かれさせます。つながりが見えるようになるため、幅広いテーマを掘り下げたいときに向いています。マインドマップでブレインストーミングする方法もあわせてご覧ください。
フリーライティング
概要: フリーライティングでは、決めた時間内は編集や評価をせずに書き続けます。
向いている場面: 書く手が止まったときや、プロジェクト計画の初期段階
進め方:
ページの一番上に問いを書く
タイマーを10分にセットする
同じことを繰り返しても、手を止めずに書き続ける
掘り下げる価値のあるアイデアを3つ選んで印をつける
スターバースティング
スターバースティングでは、6つの頂点を持つ星の中心にアイデアを置きます。そのアイデアについて、誰が、何を、いつ、どこで、なぜ、どのように、を問いかけます。予算を投じる前に計画を検証したいときに向いています。
SCAMPER
ボブ・エバールは、アレックス・オズボーンが考案した発想を促す質問集「オズボーンのチェックリスト」をもとに、SCAMPERというフレームワークにまとめました。各文字が、置き換える、組み合わせる、応用する、修正する、別の用途に使う、取り除く、逆にする、という変化を促します。SCAMPERは、すでにある製品、サービス、プロセスを改善したいときに向いています。
リバース・ブレインストーミング
リバース・ブレインストーミングでは問いを逆転させます。問題を引き起こす方法を挙げ、それぞれの原因を解決策に変えます。前向きな問いの立て方では見えにくいリスクを見つけたいときに向いています。
チームで使えるグループ・ブレインストーミング手法
グループ・ブレインストーミング手法を使うと、全員に均等な発言の機会が生まれ、発言を待つ時間も減らせます。社会心理学では、発言の順番待ちによる「生産阻害(production blocking)」が、集団ブレインストーミングの生産性を下げる最も重要な要因と考えられています。

以下の7つの手法は、無言での書き出し、決まった順番、明確な役割によってこの問題を減らします。
ブレインライティングと6-3-5法
ドイツのマーケティングコンサルタント、ベルント・ロールバッハが1969年に6-3-5法を発表しました。6人の参加者がそれぞれ5分間で3つのアイデアを書き、用紙を隣に回します。全員がすべての用紙に書き込むまで、用紙を回し続けます。ブレインライティングは、発言が少ないチームや、一部の声の大きいメンバーが議論を主導しがちなグループに向いています。
ラウンドロビン
ラウンドロビンでは、決まった順番で1人ずつ1つのアイデアを共有し、アイデアが出尽くすまで続けます。全員の意見を集めたい少人数のグループに向いています。
シックス・シンキング・ハット
エドワード・デ・ボノが考案したシックス・シンキング・ハットは、グループ全員が同時に同じ1つの「帽子」をかぶる手法です。帽子は事実、感情、リスク、メリット、創造性、プロセスのいずれかを表します。メリットとリスクをバランスよく検討したい意思決定に向いています。
ラピッド・アイディエーション
概要: ラピッド・アイディエーションでは、厳しい時間制限の中で、できるだけ多くのアイデアを挙げます。
向いている場面: グループのウォーミングアップや、短時間でリストを埋めたいとき
進め方:
明確な問いを1つグループで共有する
タイマーを5分にセットする
付箋1枚につき1つのアイデアを、できるだけ速く書く
すべての付箋を壁に貼り、重複をまとめる
ノミナル・グループ・テクニック
ノミナル・グループ・テクニックは、アンドレ・デルベックとアンドリュー・ヴァン・デ・ヴェンが1971年に開発した手法で、無言での書き出し、順番の共有、議論、無記名投票を組み合わせます。ノミナル・グループ・テクニックの解説記事でも紹介しているとおり、選択肢の順位付けや合意形成に向いています。
Crazy 8s
概要: Crazy 8sは、短時間で行うスケッチ演習です。8分間で8つのアイデアをスケッチします。
向いている場面: 視覚的なコンセプトを求めるプロダクト、デザイン、マーケティングのチーム
進め方:
1枚の紙を折って8つのコマを作る
タイマーを8分にセットする
1コマに1つのアイデアを、約1分ずつスケッチする
スケッチを共有し、有力なコンセプトに投票する
ステップラダー法
概要: ステップラダー法では、メンバーが1人ずつ中心グループに加わり、グループの意見を聞く前に自分のアイデアを共有します。
向いている場面: メンバー全員の独立した意見が必要な意思決定
進め方:
全員に課題を共有し、まず1人で考える時間をとる
2人のメンバーから議論を始める
メンバーを1人ずつ加え、議論を聞く前に自分のアイデアを発表してもらう
全員が加わった時点で結論を出す
リモートチーム向けのブレインストーミング手法
リモートチームでは、まず各自が1人でアイデアを出し、その後グループで集まって発展させる流れが効果的です。この組み合わせなら、静かに考える時間とライブでの議論の両方を確保できます。
非同期ブレインストーミング
概要: 非同期ブレインストーミングでは、チームメンバーが数時間から数日かけて、各自の都合に合わせて共有スペースにアイデアを追加します。
向いている場面: タイムゾーンをまたいで働く分散型チーム
進め方:
明確な締め切りとともに、共有ボードに問いを投稿する
各メンバーに5つ以上のアイデアを追加してもらう
最初のラウンドが終わったら、コメントを受け付ける
短いミーティングで上位のアイデアを選ぶ
たとえば、プロダクトチームが3日間機能アイデアを集め、4日目に30分の通話で5つの優先事項に絞り込みます。
ブレインネッティング
概要: ブレインネッティングは、ネットワーク上で行うブレインストーミングです。チームはオンラインのボードやフォーラムにアイデアを投稿し、ファシリテーターがアイデアを整理して2回目のラウンドを始めます。
向いている場面: 書面での記録が必要な大人数またはリモートのグループ
進め方:
問いを1つ設定したオンラインボードを用意する
24時間など、アイデアを投稿する期間を全員に伝える
アイデアをテーマごとに整理し、要約を共有する
上位のテーマを発展させる2回目のラウンドを行う
リアルタイムでの共同マインドマップ作成
共同でマインドマップを作成すると、会議室でも通話中でも、チーム全員が1つの共有マインドマップに同時にブランチを追加できます。MindMeisterは、オーストリア・ウィーンに本社を置くMeisterが提供するWebベースのマインドマップツールです。リアルタイムコラボレーションにより、各メンバーは新しいアイデアが追加される様子をその場で確認し、どのトピックにもコメントできます。
目的に合ったブレインストーミング手法の選び方
ブレインストーミング手法は、目的、グループの規模、時間、実施環境に合わせて選びましょう。新しいアイデアを広く集めたいなら自由度の高い手法を、特定の課題や意思決定に取り組むなら構造化された手法を選びます。
どこから始めればよいか迷っていますか?下の表から、状況に合う手法を探してみてください。
状況
おすすめの手法
1人で白紙を前に手が止まっている
フリーライティング
既存の製品を改善したい
SCAMPER
会議で一部の人ばかりが発言する
ブレインライティングと6-3-5法
チームで選択肢に順位をつけたい
ノミナル・グループ・テクニック
数分で視覚的なコンセプトが必要
Crazy 8s
チームがタイムゾーンをまたいで働いている
非同期ブレインストーミング
これらのブレスト手法は、教室でも活用できます。教師の方は、学生向けのブレインストーミング活動例を参考に、授業に合わせてアレンジできます。
ブレインストーミングの進め方
ブレインストーミングは、問いを決める、手法を選ぶ、時間制限を設ける、すべてのアイデアを記録する、という4つのステップで進めます。
問いは、「どうすれば新入社員のオンボーディング期間を短縮できるか?」のように、明確な1文で書きましょう。アイデア発想の時間は決まった枠に収めます。ほとんどの手法では20分が目安です。詳しいチェックリストは、チームでのブレインストーミングを準備する方法をご覧ください。デジタルで進める場合は、先にブレインストーミングソフトを比較しておきましょう。
どの手法を選んでも、アレックス・オズボーンが示した4つのルールは変わりません。アイデアを出し終えるまで判断は後回しにします。長いリストほど素材が増えるので、量を重視します。突飛な提案が実用的な解決策につながることも多いため、型破りなアイデアを歓迎します。他人のアイデアと競うのではなく、乗っかって発展させます。セッションの冒頭で毎回このルールを共有しましょう。特にブレインストーミングに慣れていないグループでは重要です。誰かが早すぎる段階で評価を始めたら、やんわり指摘する役を1人決めておくと効果的です。タイマーを見える場所に置き、問いを書き出しておくと、何度も注意しなくてもルールを守りやすくなります。オンラインで行う場合は、共有ボードの一番上にルールを掲示しましょう。
ブレインストーミング後にアイデアを整理する方法
ブレインストーミングで出たアイデアは、似たアイデアをまとめる、有力なものを優先する、次のステップを割り当てる、という3つの手順で整理します。
まず、親和図法のように、関連するアイデアをテーマごとにまとめます。次に、各テーマをインパクトと労力で順位付けし、上位の項目に担当者と期限を設定します。

MindMeisterなら、トピックをドラッグしてテーマごとにまとめ、メモを追加し、計画全体を1つの共有マインドマップで管理できます。準備の手間を省きたい場合は、無料のマインドマップテンプレートから始めましょう。
次のブレインストーミングを実行計画に変える
最適なブレインストーミング手法は、目的、グループ、使える時間によって変わります。1人ならフリーライティングやSCAMPER、チームならCrazy 8s、タイムゾーンをまたぐなら非同期ブレインストーミングを試してみましょう。
セッションが終わったら、共有マインドマップですべてのアイデアを1か所にまとめ、ばらばらのリストを明確な次のステップに変えましょう。MindMeisterなら、チームで一緒にマインドマップを作り、アイデアにコメントし、計画を発表できます。この記事から手法を1つ選び、次のミーティングで試してみてください。
今日のアイデアを明日の計画に変えよう


